瀬戸の魅力

魅力千年の歴史を育んできた「せともの」

せともの

陶磁器の総称である「せともの」の語源にもなった「瀬戸」のやきもの。 19世紀初頭から、「瀬戸」では陶器と磁器の両方を生産する世界でも希有な産地として発展し、その後、ツクリテの高い技術により、全国さらには世界各地で使われたことが発端となっています。ツクリテが様々な釉薬や技法を駆使して生産した多種多様なせとものは、全国の家庭に彩りを与えています。 せとものは、瀬戸で採られた土をこね、手や型で形をつくり、天日で干され、職人たちによって生み出された釉薬をまとい、火で焼かれます。 せとものは、職人のチャレンジ精神と自然の恵みから生み出されています。

市民の語る魅力

“瀬戸はやきもののメッカになれる”

歴史が背景にあることに誇りがあったから、瀬戸でやきものをやっていて良かったと思います。 瀬戸のポテンシャルがあれば、陶芸家の卵は瀬戸を目指すような、やきもののメッカにできるんじゃないでしょうか。

加藤令吉(陶芸家、大学客員教授)

千年の陶都

「瀬戸」のやきものは自然と共生しながら育まれ、千年もの歴史を刻んでいます。 それは、この地で良質な陶土が豊富に採れるためです。火に強く、加工しやすいために様々な釉薬や装飾方法を駆使した多種多様なやきものがつくられてきました。また、陶土の成分に優れていたため、古来から高貴とされる白いやきものをつくることもできました。「瀬戸」の良質な陶土は、「瀬戸」だけでなく、全国各地のやきもの産地でも使用され、「瀬戸」の土が日本のやきもの文化を支えており、全国のツクリテからも高い評価を得ています。 また、器だけを生産し続けたのではありません。他のやきもの産地と大きく違い、「瀬戸」のツクリテの技術革新と先見の明により、セトノベルティと呼ばれる置物や装飾品、衛生陶器、碍子、タイル、ファインセラミックスなど、日本の近代化を支える産業に必要な製品を生産してきたことも千年の歴史のなす強さといえます。 「瀬戸でつくれないやきものはない」といわれるほど、「瀬戸」のやきものは幅の広さと奥の深さがあります。 こうしたやきものの発展の歴史が、今の「瀬戸」の人々の暮らしやまちなみ、文化の原点といえます。

市民の語る魅力

“日本のやきものの歴史が瀬戸の歴史”

日本のやきものの歴史そのものが瀬戸の歴史といっても過言ではありません。大きな時代の変化は千年の中に何度もあったはず。厳しい状況にあったとしても飲み込んでいかなければ。御亭山(おちんやま)から瀬戸川をとおして見渡せる風景が、やきもののまち瀬戸の原風景です。

鈴木政成(瀬戸まるっとミュージアム・観光協会会長)

魅力陶都を感じるまちなみ

まちなかのデザイン

エンゴロやタナイタといった窯道具などの廃材をツクリテたちが石垣のように積み上げた擁壁や塀などは「窯垣」と呼ばれ、「瀬戸」でしか見ることができない唯一無二の美しい幾何学模様の景観を創り出しています。また、まちなかに架かる陶製の橋や、建物を彩る陶壁など、何気ない日常の風景に、高いデザイン性を感じることができます。 「瀬戸」では、窯元がひしめき合う昔のままの狭い路地が今も残っています。また、起伏の多い地形から坂道が数多く見られます。大通りから一歩入ったその先に、日常の瀬戸の暮らしに出合うことができます。

古さが新しい

「瀬戸」では、まちの至る所で「懐かしさ」を感じることができます。 尾張瀬戸駅は名鉄瀬戸線の始発駅であり、その周辺には、昔ながらの商店街のアーケードが残り、瀬戸川沿いにはせともの販売店が軒を連ね、やきもののまちを感じさせる景観を創り出しています。また、「瀬戸」には数多くの窯元の工房や窯垣があり、やきもの産地の歴史を感じさせてくれます。 歴史あるまちを感じさせる細い路地や建物が残る一方で、古いものの価値を活かしながら現代に合う 形にリノベーションを行い、古民家カフェやアートスタジオなど新しい活動に挑戦する人たちも現れてきて います。 古いものを新しい魅力として再生させる、それも瀬戸の魅力です。

市民の語る魅力

“商店街をツクリテでいっぱいにしたい”

商店街のお店が閉店した話を聞くのは悲しいですね。商店街を少しでも賑やかにしたいという思いがあります。瀬戸での起業を希望する若者には「ぜひ瀬戸においで」と伝えたいです。手しごとの楽しさ、チャンスがここにはたくさんあると思います。

中井亜矢(ナカイガラス制作所)

魅力個性的なまちぐらし

スローライフ

大量生産・大量消費の時代を終えた今、長い年月を経て人々の暮らしの中で親しまれ、使われ続けてきたものの価値が再認識されつつあります。「瀬戸」のやきものには、長く継承してきたデザインや技法で生産されたものが数多くあり、上質な暮らしを求めるやきものファンたちから高く評価されています。 「瀬戸」には、何代も続く老舗に加え、「瀬戸」の空気感にあこがれて新たにオープンしたお店も増えてきました。「瀬戸」のツクリテや風土に魅了された人たちが、この地に着実に根付いてきています。 「瀬戸」では、一人ひとりとのふれあいを大切にしながら、丁寧に手作りしたものと一緒に、ゆったりとした時間を過ごすことができます。

市民の語る魅力

“ちょうど良いまちのサイズ感が好き”

住んでいても工場やその跡があって、やきものを作っていた風景が見えたり、ものづくりをしているまちの空気が良いと思います。まちもあるし山や川もある。まちのサイズ感が好きです。大きすぎず小さすぎず。全体的に自分で把握できるサイズ感。人の多さの加減、ちょうど良さが好きです。

千葉麻衣子(自営業、飲食店)

家族と地域が近くにある暮らし

「瀬戸」は家族経営のやきもの事業者が数多くあり、家族がとても近く、つながりが深いです。そして、やきものの技や伝統、家庭の味、家族の思い出も引き継がれていきます。 「瀬戸」では、地域活動が盛んで、新しく移り住んできた人と長年瀬戸で暮らす人々が、一緒に自分たちの暮らす地域を育てています。世話好きの人が沢山いて、子どもを面倒見てくれたり、相談にのってくれたりと地域の支え合いもしっかりしているため、まちを歩けば、すれ違う子どもたちから、沢山の笑顔とあいさつをもらうことができます。 また、愛・地球博の開催を契機に、自分たちのまちを盛り上げる活動に積極的に取り組んでいる団体も増えてきました。

市民の語る魅力

“寛容で親切なまち”

瀬戸には外からの人を受け入れられる土壌があります。すべてに関して寛容で、おせっかいなくらい親切なまちです。困っている人を見ると「だいじょうぶ?」と手を差し伸べられるところが良いと思います。

森宏子(乾物屋店主)

魅力大都市に近い自然

自然の恵み 里山

「瀬戸」は、名古屋都心から電車で40分あまりの場所でありながら、豊かな自然に恵まれ、山と丘陵地に囲まれた地形から、人々の暮らしの近くに「里山」があります。 下半田川町(しもはだがわちょう)の蛇が洞川(じゃがほらがわ)にはオオサンショウウオ(国の天然記念物)が生息していたり、「自然の叡智」をテーマとした愛・地球博の会場にもなった海上の森(かいしょのもり)では初夏には蛍が舞うなど、自然が大切に守られています。 「瀬戸」の人たちは、自然あふれる愛知高原国定公園内の定光寺や岩屋堂などに出かけ、緑豊かな環境で子どもを育て、季節の移ろいを感じながら暮らしています。

※海上の森は、平成18年3月に愛知県自然環境保全地域に指定されています。

ものづくりと結びついた自然

「瀬戸」の暮らしは、自然の恵みから育まれたものです。 先人たちは、地元で採れた良質な陶土をこね、森から切り出した木材で窯を焚き、やきものをつくりました。やきもの産業の発展に伴い、かつては瀬戸川が白く濁ったり、煤すすで洗濯物も黒くなる時期もありました。また、やきものづくりとも深い関わりのある里山も、薪となる木材の伐採により禿山になりましたが、人々の手による植林により、豊かな里山として再生させてきました。 現在でも、「瀬戸」の人たちは、自然の継承者として、引き続き川や森を大切にし、自然と寄り添いながら暮らしています。

市民の語る魅力

“世界一の椿の森を創りたい”

今はモノの時代から、自然などを求める時代です。瀬戸中に椿の花を増やしていきたいと思います。そして瀬戸の地に「日本一」の椿の森を創ることで、日本中から人を呼び込みたいと思っています。

田中博晶(瀬戸椿の会)

“貴重な森を歩いてもらいたい”

瀬戸の森は世界的にみても貴重で、多様性があり、種類が多いという特色があります。他県や世界からも注目されるような森の魅力を知って歩いてもらいたい、森の良さを再発見していただきたいです。

加藤滋(樹木医)

魅力ツクリテが身近にいる

ツクリテ

「瀬戸」ではやきもの製造に携わっている人がたくさんいます。 ろくろ師、絵付師、原型師、製型師、鋳込師などのやきものの製作過程ごとに、ドイツのマイスターのよ うな専門職人がいます。ですから、「瀬戸」には、陶芸家だけではなく、高い技術をもった職人がたくさん います。 「瀬戸」には、県立瀬戸窯業高校や新世紀工芸館、瀬戸染付工芸館、窯業技術専門校など、次世 代のツクリテを育てる様々な場があり、自立して創作活動を行える場もあります。新たに創作活動をす る人たちを受け入れる土壌もできており、ガラスや木工、デザインをはじめ、CGなどIT分野まで幅広 い分野で活動するツクリテが各地から集まってきています。 さらに、やきもの産業とともにうなぎ料理や瀬戸のB級グルメである瀬戸焼そばなど、食分野のツクリテも 数多くいます。「せと・しごと塾」でビジネスを学び、新たなツクリテとしてチャレンジする人も増えてきました。 「瀬戸」には、ツクリテを育てる環境があり、ツクリテたちが集う魅力があふれています。

市民の語る魅力

“ものづくりをしている人に出会えるまち”

何かしらものづくりをしている人に出会えるのが瀬戸のまちの魅力です。ここに住んで何かをつくって残したいという若者を呼び込みたいです。様々な分野のツクリテが力を合わせて、瀬戸のまちのために何かつくることができたら良いですね。それが私の夢です。

亀谷政代司(彫刻家)

ツクリテが語る瀬戸について

瀬戸にはツクリテがたくさん身近にいます。 カッコいいツクリテたちがいるから、瀬戸のまちはカッコいい。 ものづくり文化を支えるツクリテたちが瀬戸の魅力。

市民の語る魅力

“染付を作ることで瀬戸に貢献したい”

職人として、染付を作ることで瀬戸に貢献したいです。瀬戸にこんな良いやきものがあるということを日本の人にも海外の人にも伝えたいので、良い作品を作り続けたいです。

加藤真雪(染付職人)

“世界的に見ても技術力の高い職人のまち”

瀬戸は世界的に見ても技術力の高い職人のまちです。今でもまちに残る職人の地に足のついたメッセージに感銘を受けます。今はものづくりが重要視されているので、それらがこの時代に意味を持つんです。

岩木勇一郎(CGクリエイター)

“新たな発想が生まれてくる”

これだけ作家が住んでいるまちは全国を見てもないと思います。彫刻家として制約(ルール)がある中で創作しています。どうやってやろうかと色々な発想が新たに生まれてくるんです。

鈴木紹陶武(彫刻家)

“瀬戸に根付いて作品を生み出したい”

瀬戸の人は職人に慣れ親しんでいて、ものづくりをする人に優しいので瀬戸が好きです。美術家として瀬戸に根付いて、このまちで作品を生み出していきたいです。

植松ゆりか(美術家)

ツクリテに近い暮らし

「瀬戸」には、ものづくりの文化と寄り添い、暮らしを楽しむ人が沢山います。 中心市まち地をはじめ品野、赤津、水野、洞など市内の広範囲にわたって窯元があり、多くの市民にとって、やきものは非常に身近な存在です。窯元はもちろん、一般家庭の多くが瀬戸焼を日常的に使い、暮らしに彩りを加えています。 また、数多くの上質なやきものに触れてきた「瀬戸」の人たちは、料理で器づかいを楽しんだり、お茶やお花を学ぶなど、上質な日常を楽しんでいます。

市民の語る魅力

“瀬戸でしか感じられないものづくりの空気”

瀬戸は粘土の質が良く、また粘土、道具、釉薬、木箱など、やきものに関わる多くのものが集約されているので、陶芸家にとって素晴らしい環境なんです。瀬戸にはツクリテがたくさんいるので、同じツクリテとして刺激がたくさんあるんですよ。ツクリテが右往左往している雰囲気を持ったまち。その空気を感じてもらえると思います。

水野教雄(陶芸家)